2012年8月29日水曜日

全力でぶっ飛ばすというより全力でぶっ飛ばすしかないということについて

 留学中も俺はたびたびおなじみの「強制的なマルチタスク状況」に陥っていたのだが、日本に帰っても絶賛継続中である。つまりもう1年ぐらいずっと「強制的なマルチタスク状況」である。
 この状況を継続することははっきり言って賢い方法ではない。レベルを上げる作業をしっかりやってからボスと戦った方がボスに勝てる可能性は明らかに上がる。このような順序を踏めない人間はRPGには向かない。
 しかし、現実はゲームではない。RPGではレベル上げには(原則)無限の時間が与えられていて、ボスもレベル上げを行っている最中に消えてクリア不可能な状況になることはない。他方、現実はゲームではないため、レベル上げには制限時間があるし、レベル上げを行って戦う準備を整えているうちに戦う相手そのものが居なくなってしまったりする。例えば留学中の俺を例に挙げれば、論文をじっくり書く時間を確保していたら論文の提出期限は過ぎてしまっていたし、インターンは忙しくなるのでやらないという選択をしていればビザの期限が切れてアメリカでインターンできなくなっていたし、インターンと論文作成の邪魔になるので勉強をしないという選択をしていた場合は決められた期間内で学位を取ることはできなかった。
 つまり、俺たちには「全力でぶっ飛ばす」ことよりも、「全力でぶっ飛ばすしかない」ことの方が多いのである。俺たちが現実に戦う80%ほどのボスは全員はぐれメタルのようなもので、メタル斬りを習得するまでその場でずっと待っていてくれるわけではないのだ。しかも現実のこの「はぐれメタル」は更に悪質で、一度逃げ出すともう出会うことができないものも居るし、俺たちの多くは次にまた会えるのか、それとも一期一会なのかを判断する能力を持っていないのだ。それ故、それぞれのボスに直面した際、俺たちが取り得る作戦は実質的には「ガンガンいこうぜ」一択しかないことばかりなのである。
 この結果、全力でガンガンぶっ飛ばした俺たちは9割以上の確率でどこかで失敗してしまうのである。全てを100%満足のいく結果にすることができないのである。MPが途中で尽きてボコボコにされて力尽きたり、メダパニを食らって自滅したり、HPの回復を怠って死ぬのである。
 今の所、俺にはまだこのような状況で「ガンガンいこうぜ」の作戦しか見えない。全力で今しか戦えないと思ったボスをガンガンぶっ飛ばすことしかできない。馬鹿だと思ってもそうすることしかできないのである。だから俺は全力でぶっ飛ばすことにする。

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