2010年8月31日火曜日

ソード男子 (1)

 僕は他人が嫌いで嫌いでしょうがないって思ってた。高校に入学した僕は入学前は成績も中の上でぱっとしない僕の顔に拍車をかけてぱっとしなくて僕と同じ中と上くらいの友達となあなあの付き合いをしてたんだけど、入学して中学校とかで遊んでた友達とかが疎遠になると、なんだよあいつら結局俺とかそういう扱いかよって感じになって、だんだん無口になって入学して1週間弁当とかも一人で食べてると自分って痛くて、学校が嫌になっていきなり3ヶ月間引きこもってみると最初の数日間はモンハンとかやってて僕って社会のゴミだなと思ってたけど、でもそればっかりやってると超うまくなってアドパとかに行くと他の人が逆にこのコミュニティではゴミみたいに下手糞で、「どうやったらそんなにうまくできるんですかw」「練習かなwwwww」とか平日の10時とかにやり取りしてるとまた痛くなってきて、僕はふざけてるだけだよwって装うために集会所に入室したままゴーストを残して部屋を出るっていう定番の嫌がらせをやってると、次第にコミュニティっていう概念自体が多元化してるのが現実なのかもしれないと思って「コミュニティ」をググってみてもウィキペディアの共同体の項目が最初に出てきて、winnyで落とした貧乳の少女が触手で蹂躙される同人誌でオナニーばっかりしてる大学生の兄のレポート作成と同じ作業をしてる自分がちょっと嫌になって、こんな馬鹿な自分やロリコン野郎を根絶やしにするためにも僕は偉くなろうと思って勉強を始めた。勉強を始めると以外に集中できて、僕は高校(まだ1週間しか行ってないけど)入学3ヶ月で数ⅡBと仮定法から不定詞と間接話法まで完全に理解して多分そこら辺の高校生よりは賢くなってしまって、それが自分自身のある種の全能感を増大させた結果、他人を社会的にゴミ扱いしたくなった僕はひきこもりを止めて使ってなかったお年玉で駅前の代々木ゼミナールに公開模試を受けに行って家族を喜ばせる。別にお前らクソのためじゃないよ?とか思いながら僕もまんざらでも無くて、そういう自分がちょっと嫌になってきて、というか何も自分を貫徹させてない自分が嫌で、他人に加えて本格的に自分も嫌になってきて、自分が嫌になっちゃうと僕の世界って何だろうっていうスパイラルに巻き込まれて、代ゼミに行く前に自殺することにした。でも何か僕だけ自殺するのも結局僕がゴミでしかなかったことを認めるみたいで許せなくて、とりあえず世間で起こっている事件を模倣してやっぱりなって感想をいろんな人に与えて、でもそのやっぱりなっていう感想は実は僕の思い通りなんだよ?って優越感に浸るために線路に人を突き落として電車で轢かせようと思って全然電車に乗ったことない僕が渋谷駅までふうふう言いながら歩いて行って、そういえばお父さんはいつも品川品川って言ってたことを思い出して、品川駅までの切符を買って、山手線のホームで誰を殺そうか物色してると、丁度いいことに僕と同い年ぐらいで学校をサボってたDQNらしき男子を発見してこいつを殺すことに決める。
 そのDQNは顔は横顔を見た感じだとそこそこジャニーズに居そうなむかつく顔をしてて、髪は真赤に染めてて僕の通ってた高校と同じような学ランを着ていた。こいつで全然いいと思った僕は乗降マークの直ぐ上に直立して電車を待っていたDQNを突き落とすためにDQNの後ろに立った。僕は心臓がばくばくしててちょっと泣きそうになって、足もちょっと震えてきて、こんなこと何の意味があるのかとか思うけど、でももう考えるのも嫌になってきて、しばらく待ってるとだんだん昔小学生の頃ソフトをやってた時に代走で一塁に立って二塁まで盗塁のサインが出た時のことを思い出した。あの時はそう言えば失敗してあれー?みたいな、他人事みたいな顔でベンチに帰ってるとコーチだったお父さんがぐんにゃりした表情をしてたんだって思ってると電車が来てることに気付いて、あせった僕はよろけるようにしてDQNの背中に体あたり「こ う かは ば つ ぐん だ !」→潰れたトマトの完成という展開!と思ってたんだけど、体あたりした勢いのままアスファルトが見えてきて、あれ?当たらないって思った瞬間僕の腹にブロックが衝突したような何かがどひゅんってぶつかって僕はがばっ!!って漫画みたいな声を出してホームの後部に後頭部から吹き飛ばされて柱にそのまま直撃してしまう。

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