2011年4月6日水曜日

フルブライト奨学金攻略法 (4)

(3)の続き

 英語で会話する能力について

 次は最終審査の山王グランドビルの日米教育委員会事務所で行われる英語面接で必要になる英語で会話する能力をどのように手に入れるかについて述べる。2次の書類審査が一番厳しいという話(感想)もあるみたいだが、最終審査も事実として結構落ちる人は落ちる。しかもこの最終審査の15分間で失敗してダメだった人は、俺のように留学する金が無ければもう一度来年5月の予備審査からやり直すことになるわけだから、出願者は全員クイズミリオネアの1000万円チャレンジの場か、LIAR GAMEファイナルステージに参加するつもりでギスギスした気持ちで臨むべきだ。「もっと楽しんでやろうよ!!」とかの意見は実際の真剣勝負の場を経験したことが無い奴のクソの価値しか無いアドバイスなので、最終審査に残った人はそんなもん無視して良い(というか無視せざるを得ない)。何十人も居る他の出願者を殺すつもりでやるべきだ。結局はそういうことである。後悔も満足も負けた後か勝った後に好きなだけすればいい。
 さて、フルブライト奨学金選考プロセスで必要になる英語で会話する能力とは何だろうか。この点に関してもTOEFLのスピーキングで必要になる基本スキル(リスニング能力を含めた会話能力、発音など)は皆準備してくるものなのでこのブログでは説明を省く。
 実は俺の考えだと(3)で書いた英語で書く能力を上手く備えた人間は、この英語で会話する能力のほとんどを自動的に手に入れることができる。少なくとも何を喋るのか、ということについて戦略的に備えることができる。この点について参考になるのが若干手前味噌だが実際去年の面接後に書いた俺の記事である。そこには俺が喋らなければならなかった内容として具体的に、

俺の専門領域について
何でそれを研究したいのか
専門領域の研究に必要な視点(Theoretical Framework) について
俺のキャリアプランについて
俺の出願先について
海外経験が全く無いことについて
専門領域の有名な学者

が面接官に聞かれた質問として存在した、とある。これを攻略法(3)で書いた「柱」に対応させてみると、

(第1の柱)
俺の専門領域について
何でそれを研究したいのか
専門領域の有名な学者

(第2の柱)
俺のキャリアプランについて
海外経験が全く無いことについて

(第3の柱)
俺の出願先について

(若干のイレギュラー)
専門領域の研究に必要な視点(Theoretical Framework) について

となり、1つのイレギュラーを除いて、全ての会話の内容が自分が出願書類に書いた内容を基にして喋ることができるものだということが分かる。したがって、出願者が英語で会話する能力を得るためにしなければならない準備とは、自分が提出した出願書類に書いた内容から推測される予想質問と理想とする回答を作り、質問に回答できるように何度も練習することである。つまり、就職や入試の面接を行う前にすべき当たり前のことを当たり前にやれ、ということだ。個人的にはたとえ仕事を持っている人であっても、10~11月の面接前の最低でも1週間前からは、この「作業」(だけ)に集中できる時間を取るべきだと思う。これは内定を得るためのアドバイスではなく、後悔しないためのアドバイスである。
 さて、書いていることなのでもうお分かりになると思うが、その「作業」をやってもそこから想定できない質問が審査員から発せられるケース(イレギュラー)が存在する。しかし出願者がその質問に出会ったとしても、俺は「おいおいそんなの聞いてないよ!!」とか言わないで欲しいと思う。そもそも他人と会話するということ自体、新しい発想を生み出すための契機である。テンプレートを使って会話を擬制するTOEFLのスピーキングとは違い、出願者が審査員と行うのは現実の会話である。上記したイレギュラーな質問は、俺とそこに居た審査員が会話した結果生み出された新たな問いの形であり、(おそらく)その質問をした審査員にとっても用意されたものでなければ、俺にとっても(発想の芽は頭の中にありそうだが)用意されたものではなかったのだ。実際の質問は「それでは君に理論的な質問をしよう。君は君の研究課題について、法学的な視点からアプローチするのか、それとも政治学的な視点からアプローチするのか?」といったものであった。
 それではこうしたイレギュラーにどうやって出願者は対処するための能力を備えれば良いだろうか。俺の見解では、(AGガンスのごとき)反射神経が必要になると思う。俺が去年の面接後に書いた記事の中で言う「聞かれた質問に真正面から素直に英語で回答する当たり前の力」とは、まさにこの会話の反射神経だ。あらゆる質問に自然に返答する能力が必要になる。
 この反射神経を(意識的に)鍛えるためには、日常的に英会話を行う場を設けるか、実際に自分が用意していない発想を持つ他人に質問してもらうのが一番である。この他人とは世話になっている先生でも、親でも、彼女でも、彼氏でも、兄弟でもおばあちゃんでもおじいちゃんでも良い。しかもあくまで「聞かれた質問に英語で回答す」れば良いのだから、質問してくれる人が全く英語を話せなくても良い。日本語で聞かれた適当な質問に対して、こちらは英語で回答するのだ。回答が上手くできているか不安だと言う人は、スピーキングの練習でいつも使っているレコーダーに録音して聞き返し、辛口の評価を付けて、何度も繰り返し練習すれば良い。この「事情を知る他人」が居ない全くの天涯孤独だ、という人については、難しいがとにかく沢山質問を考えて、沢山それに対する回答を即座に答える練習をしておくべきだ。
 また、少し記事が繁雑になるが、俺と同じように英会話において「スロースターター」だと自覚している人は、まさに面接当日、面接時間の前に誰か事情を知っている他人に電話して、上記した作業をしておくと良い。俺は実はこれまでやってきたあらゆる英会話の場面で、あらかじめ英語をある程度喋ってから実際の会話に臨んだ方が英語が上手くなる、という自分の性質を理解していた。なので、実際に昨年の面接前に山王グランドビル前の通りを挟んでちょっと行ったところにあるマクドナルドの2階で、彼女に携帯で電話して(他の人にはちょっと迷惑だが)「何でもいいから質問してくれ」と頼んで上記の練習をやってもらい、その流れで面接に臨んだのである。そこまでするのか、と思う人も居るかもしれないが、これは真剣勝負である。手を抜くと後悔が残るだけで何も良いことは無い。
 このように、フルブライト奨学金選考プロセスに要される英語で会話する能力は、具体的な努力無しに得られるものではない。2次の書類に通ったからと言って手を抜く理由はどこにも無いし、もっと言えばたとえ最終審査を経て内定してもLL.M.やMBAなら独自に面接がある学校もあり、合格通知を得ることが奨学生の身分を確定するための条件なのだから、実は内定後も英会話で手を抜けない状況があるということを忘れてはならない。

花粉症がひどくなってきたので(5)に続く

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