2011年9月25日日曜日

Columbia Universityで「南南協力」について聞く

 日本の指導教官に入った方がいいとか言われていたUN Forumというメーリングリストで、Columbia University のSIPA(School of International and Public Affairs)でUNDPで働いている人が「南南協力」について講演をするという情報を入手したので、また新しいJargonを作りやがってと思いながら行ってきた。本当に国連という所は素晴らしい官僚組織である。
 実はNYUでもColumbia Lawの科目を一部履修できるので、俺は最初取ろうかと思っていたのだが、時間的な理由で無理だった。NYUとColumbiaはまあまあ離れていて、地下鉄だと30分ぐらい、マンハッタンの南から北へ上がるルートである。しかも出る場所によっては山道みたいな所(テイルズとかスターオーシャンで良くこんな感じの場面繋ぎエリアがあったよねっていう場所)を登っていかなければならないので、帰りは暗くなっていて嫌な感じだった。
 Columbiaだが、まあ普通の大学だった。NYUも人が多いが、Columbiaも人が多い。人種も様々である。SIPAでは日本人の組織みたいなものがあるらしく、講演会には(多分)日本人らしき人々が沢山居た。俺はもう開発学の修士を取っているので今更SIPA自体に関心は無い(Ph.D.もあるが少数精鋭)が、留学先に日本人が居なくてさびしいかもしれないと思っている人はとりあえずSIPAに行けばいいんじゃないだろうか。多分ここはハズレということは無いだろう。
 さて「南南協力」についてだが、簡単に説明すると今まで「南北協力」で、北(先進国)→ 南(発展途上国)の流れで開発支援していたのを、今後は南(発展途上国) → 南(より未発展な発展途上国)という流れで支援しましょうというJargonである。こうすると、理論的には北(先進国)の価値観や理念でコントロールされず、発展途上国がいわゆるOwnershipを持ったまま支援できるだとか、「南南協力」の当事国が隣国で歴史的・文化的なバックグラウンドを部分的にでも共有していた場合、北のそういったバックグラウンドを理解していない国がやるよりもよりスムーズに支援と能力強化ができるという点でメリットがあると言われている。まあ発想自体はごくごく自然で、発展途上国が発展して余裕が出てきたら考えられそうな戦略だなと思う。特にOwnershipは近年の国際協力における流行語大賞をあげても良いぐらい重要視されている概念なので、先進国が主役にならない開発支援の枠組みを考えるに当たって有用だとは言える。
 この概念について、例えばやばいやばいと言われながらも紛争研究のケーススタディに事欠かないアフリカにおける紛争は減少の傾向を見せているので、今後さらに平和構築が有効に機能して紛争後社会が安定し、開発が進めば「南北協力」より「南南協力」が開発援助において主流になる可能性もある。講演していた人が言っていた通り、この「南南協力」はまだ研究が進められていない新しいJargonなので、今開発系の学位課程修士1年とかで「やべーまだ何も修士論文の中身考えてねーけどそんなことよりさっさと修論終わらせて社会人になるまでネトゲでもしよう」とか言う人は、とりあえずこれについて書けば論文には「今まで先行研究はこの視点を見逃していた」、「まだあまり学会では触れられていない」とか定番のセールスポイントを書けて、中間発表とかで発表者も指導教官も聞いている人も困らないだろう。

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