2~3ヵ月前ぐらいに舞城王太郎(VS.JOJO)のJORGE JORSTERを彼女から借りて読んだ。いつも通り適当なあらすじを書くと、父のジョナサン・ジョースター亡き後カナリア諸島で母エリザや将来的に波紋の達人になるリサリサらと暮らしていたいじめられっこのジョージ・ジョースターが、スタンド能力にまつわる事件やら、多次元世界のおなじみ西暁町(キャッスルロック≒杜王町≒西暁町。物語話者の実験場)に住まうもう1人の名探偵ジョージ・ジョースターやらと関わっていくうち、最終的に裏で暗躍していた「悪の救世主」たるDIOに大勝利!する話である。
舞城王太郎の話にしては珍しく「大勝利!」する話である。ほとんど完全なるハッピーエンドで、なるほど、「ジョジョの話なんだから、『真実に向かおうとする意志』が重要であり、『結果』それ自体には価値などないのだ、というわけなんですね、舞城先生!」とか穿った見方をしてしまう。
さて、AMAZONレビューで叩かれている本作であるが、帯に書いてあった「舞城王太郎vsJOJO」といった文脈においては忠実な内容だったと思う。「VS」なので、舞城世界代表は「探偵神」九十九十九と西暁町のもう1人のジョージ・ジョースター、荒木世界代表は「究極生命体」カーズとジョースター家の正統なる血統ジョージ・ジョースターで、物語の大枠で2つの平行世界に言及されている通り、舞城がこれまで作ってきた世界と、ジョジョの作者がこれまで作り上げてきた世界を戦わせている、と思う。
もちろん舞城王太郎の世界は≒西暁町に尽きる上、別に登場人物は家系図的な発展を遂げていないため、ジョジョの作者がこれまで作り上げてきた世界に比べれば薄い。九十九十九を代表者として登場させているが、逆に言えば「探偵神」として他の作品にもちらちら登場するキャラクターとして、せいぜい九十九十九ぐらい(頑張っても大爆笑カレーぐらい)しか出せないのである。奈津川家サーガが真面目に続いていれば違ったかもしれないが。そして杜王町という「力場」に対しては西暁町という変態の住み・・・「力場」しか出せないのだ。
物語の内容面に触れると、やはりというべきか、内容を意味は無いが複雑な事件と名探偵=物語話者の推理=物語で埋め尽くしている。しかも、今回はJOJOの世界なので、「スタンド」という概念で舞城王太郎が(倫理性は無視しているくせに)一応尊重している物理法則の限界を超えた事件と推理に仕立て上げている。「このスタンドの『設定』ならこうなるよね?」ということを面白半分に物語化している、と思う。
そのため、上述したような「舞城王太郎の世界」を知る人にとっては「またこんな話だよこいつ・・・」という感想になるし、「JOJOの世界」しか知らない人にとっては「ふざけんな死ね」という感想になるし、どっちの世界も知らない人にとっては「なんか小難しい話ばっかりで寝る前に読むとすぐ眠れる」という感想になるかと思う。
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