まあ出願する分野にもよるのだが、とりあえずSpecialized Paperの方は前回やった方法でそこそこ対応できていたので、案外簡単かもしれない。やることと言えばほぼ決まっていて、①国連事務総長報告書(SGレポート)をイシューごとに読む、②イシューを包括的に説明している基本書を買って読む、の2つで(理論通りに体が動けば)7割ぐらいはできるのではないかと思う。
①のSGレポートというのは国連マニアであれば常識なのだが、国連では数年ごとに各イシューを専門的に論じた事務総長(Secretary General)の名入れの、いわゆる各イシューに対する国連の立場そのものを示していると言っても過言ではない文書が存在する。例えば1992年のPKOの質的転換を明示した「平和への課題」も、当時の国連事務総長であるブトロス・ガリによる報告書である。この類のレポートは当然探し出して読む必要がある。
②のイシューを包括的に説明している基本書とは一般的に流通している教科書を指す。もちろん①の文書の方が重要度は高いのだが、Specialized Paperは大問3つ以外は7つの比較的短い文章を書かされるので、基本的なTechnical Termの定義や意味を短く説明できるようになっている必要がある。
もっとも「理論通りに体が動けば」と上記した通り、日本人にとって重要であるのはいかに早く綺麗な英語の文書を手書きで書くか、という点である。実際やった人間は味わったと思うのだが、まともにやると後半部分の論述の質が疲労により下がっていく。鍛錬で克服できる問題か不明なのだが、アメリカの司法試験やロースクールのテストのようにキーボード入力を国連が許可してくれる可能性は、「試験形式の平等を保つ」という名目で現状では非常に低いので、手書きで解答を作る練習は必要になるだろう。一見馬鹿みたいな要素だが、案外この点は馬鹿にできたものではない。
Specialized Paperよりも個人的に問題であるのは前半部のGeneral Paperだと思う。おそらく前年度の試験形式を国連は踏襲してくると思われるので、まず試験形式から言うと今年も①英文要約+②マークシートだと予測する。②のマークシートは昨年度の場合だとYPPのHPでGeneral Paper対策用に配られていた過去問と形式そのものが異なるので、実際はそれほど対策にはならなかったし、個人的な感触として、実際のマークシートの問題では国際社会における問題群よりも、詳細な国連機関の組織関係に関する理解が問われていたと思う。よって、ここで足切を食らわないためには、個別の機関の統括機関は総会なのか経済社会理事会なのか安保理なのか、権限関係はどうなっているのか、機能はどうなっているのか、といった点を理解する必要がある。対策方法としてはいわゆる「国連ファミリー」の見取り図を早めに入手して、各機関の機能や権限を把握する作業が求められるだろう。国際社会の問題を見る時も、どの機関がどの機関の統括下で取り組んでいるのか、その機関と協力している機関は何か、ということを理解しておく必要がある。
余談だが昨年日本の外務省国際機関人事センターから頂いた素晴らしいアドバイスが下記。
(一般試験)
一般書籍等で国連の概要を把握した上で, 国連事務局が公表している,UN NEWS,事務総長報告,プレスリリース等に目を通し, 現在の国連事務局の課題や重点目標について理解する。
国連文書検索システム(Official Document Search System)を利用し,応募分野に関連する報告・ プレスリリースを検索し,読みこむ。
UN-ODS http://www.un.org/en/ documents/ods/
国連について知見のない方は, まずは国連英検の勉強を糸口としていただくのも一案です。
(専門試験)
・政務分野
他分野に比べて,総長報告, プレスリリース等への理解が求められ,読みこみが必要。
国連文書検索システム(Official Document Search System)を利用し,応募分野に関連する報告・
UN-ODS http://www.un.org/en/
国連について知見のない方は,
(専門試験)
・政務分野
他分野に比べて,総長報告,
というわけでとにかく読み込みましょう、というアドバイスであった・・・。どう考えても国連自体の存在を知らない人間でない限り、知りたい情報はここで言う「プレスリリース」や「事務総長報告」のイシューの具体的な範囲や内容なのだが、とにかく読み込むことが必要らしい。残念ながら、上記した物理的な理由により、日本人の場合はとにかく読み込んでいても(多分)負けます。また早い所俺が合格してこのブログで「国連YPP試験攻略法」でも書ければ良いのだが・・・。