2012年8月21日火曜日

俺が日本に帰ってきて変わったこと

 俺がアメリカから日本に帰ってきて変わった最も大きな点は、「ありがとう」が軽くなったことである。
 なぜ変わったかと言うと、アメリカでは"Thank you"という、我々が「ありがとう」として習う言葉が非常に軽いからである。より正確に言えば、「軽い」というより「多義的」なのである。"Thank you"は英語圏では日本の普通の中学校・高校で教わる「ありがとう」のみを意味しない。感謝の意以外に、"Thank you"は、「どうも」、「やあ」、「よろしく」、「頼むよ」等の意味を持っている。それ故、感謝の意を表す以外に多様な用法があるので、日常生活での登場頻度が多くなり、必然的に軽くなるように見えるのである。
 これに加えて、アメリカでは誰かに対する感謝の意は、たとえどれほど感謝の対象となる作業量が少なくとも、誰もがごく自然に"Thank you"と口に出して言う文化がある。例えばスーパーで買い物をした際など、日本のスーパーと異なり、アメリカでは客ではなく、店員が自らレジ袋に商品を詰める作業をしてくれるので、やってくれた店員に対して多くの人が"Thank you"と口に出して言う。これは意図的に言うというよりは、もはや習慣・文化として根付いているが故に、自然に口に出る、と言った方が正しい。
 このような文化を経験した結果、俺も日本に帰ってからやたらコンビニの店員やファーストフード店の店員など、商品を袋に詰めてくれる人々に対して「ありがとう」と言ってしまうようになった。日本人の感覚からすれば「ありがとう」は"Thank you"に比べて言葉全体の流れが流暢であるわけではないので若干言いにくい上、無言で商品を置くだけで全ての売買手続きが完了する日本のコンビニ等でわざわざ「ありがとう」を連呼すると気持ち悪いのだが、しばらくこの習慣が続きそうである。

0 件のコメント:

コメントを投稿