2010年8月3日火曜日

INCEPTION 感想

 7月に女の子とINCEPTIONを観た。全体的な点を言うと、物語の構造はしっかりしていたが、キャラ設定が曖昧な(わざと曖昧にしている?)部分があった。例えばコブが死ぬほど追われている具体的な理由や、夢の世界に入ってアイデアを盗むことがどう企業利益に結びつくのか、そういった文脈が描かれていないため、サイトーが突然効果とかが不明のままにINCEPTIONをやって欲しいと依頼して来たかのように見える点があった。
 最近村上春樹の小説を読む機会があったので、読み手や観客のあり方として、こうした描かれていない部分は、例えば登場人物の不気味さとか底知れない何かを描くための手段と捉えるべきなのかなという気もするが、夢の中に入って他人のアイデアに触れることの有用性や、どうビジネスに活かされている世界なのか、を伝えきれていなかったように思われる(その「危険性」はストーリーの主題たるミッションによって描かれていたが)。
 また、登場人物が「調合師」や「設計士」など、その道のプロで裏社会で生きている人々ということは分かるのだが、大学で仲間にした女の子以外、ほとんど全員の戦闘能力が高い点も謎だった。夢の世界で何かしら作為を行うと、夢を見ている人の防衛本能が働き必然的に戦闘になるから、その道のプロである以上はある程度戦う技術を持っていないとダメということだろうか。
 個人的にはもう主演のレオナルド・ディカプリオが家庭があって子どもが居る役を演じることができるようになったんだなあ・・・という感想もあった。ロミオとジュリエット、タイタニック、ザ・ビーチ、仮面の男、ブラッドダイヤモンドなど、彼はこれまでの映画の中では、どちらかというと「好き放題やっている若者」を演じる傾向があったんじゃないかなと思っていたので、いやー俺もちゃんと年を取っているんだと思った。彼の英語は割合はっきりしているので、リスニングの勉強にもなるだろう。
 結論として、映画それ自体の作りや設定は、上述した作りの甘い部分を除いて非常に観ている側に分かりやすくなっていて、観客を引き込んだと思う。無駄に設定の説明をせずに、こうした映画の仕組みを分からせる点は卓越していた。個人的にはアバターよりこっちの方が面白い。
 

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