2011年3月2日水曜日

レギュレイターズ 感想

 リチャード・バックマンのレギュレイターズを読んだ。これまたいつも通りあらすじを死ぬほど簡単に紹介しておくと、住宅街に突然アニメに登場するような謎の集団が現れ、嵐のような銃撃で理不尽に破壊の限りを尽くす中、同じ地区に住むある1人の少年がこの事件の鍵を握っていることを住民達が知る・・・という話である。この死ぬほど簡単なあらすじだけでもきちんとあらすじの役割を果たすような内容だと言っていい。
 まず感想を言う前に、リチャード・バックマンの冥福を祈っておかなければならない。どこかで見たようなヤク中作家に似た容姿をした彼は、「ホラー分野」で非凡な才能を持っていたが、1985年に偽名癌という謎の病気で若くしてこの世を去ったのだ。いやー本当に残念残念。残念だなあ。
 さて、感想であるが、本作は純粋なエンターテイメントとして秀逸である。もちろんエンターテイメントとしても、そのまま映画化した場合は18禁どころか21禁になるような暴力の嵐が吹き荒れるので楽しめない人も居るかもしれない。それも感情的な意味での不快感というより想像ではあるが、物理的な意味での暴力を感じるような内容である。本作においては、どこにでもある日常が、そういったぶっ飛んだ非日常(的な暴力)によって侵食されていく様が見所である。本来は文字化できない空想を文字化しているような情景が繰り広げられていく。
 印象に残ったのは、どう考えても後味爽快とは言えない結末でさえも「爽快・・・?うーん、まあ爽快かなあ・・・・?」ぐらいの程度にまで引き上げることができた作者の手腕である。客観的には全く救いが無いが、それまでの破滅的な描写が秀逸だった分、結末でもたらされる(作者にとっての)自分勝手なカタルシスが「まとも」に見えた。
 
 
 

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