2011年4月7日木曜日

フルブライト奨学金攻略法 (5)

(4)の続き

 (2)経歴・履歴

 先に述べたように、フルブライト奨学生に選抜されるための経歴・履歴とは、「出願書類上で示した自分の関心と留学目的を補足し、整合性あるものとして審査員に感得させる経歴・履歴」を意味している。フルブライト奨学金の応募資格の1つに「学士を持っていること=大卒以上」という項目があるので、必然的に出願者は同分野の出願者とは単なる「大学卒業」の肩書き以上の履歴・経歴で差を付けるための努力をすることになる。ちなみにここで言う「大卒以上」とは「卒業見込み」を意味しないため、今年大学4年生になったばかりの人は応募資格を持たない点に注意しなければならない。今年大学4年の人は卒業した年の5月にはじめて出願できるということである
 実は俺は重要性の点で第2位にこの「経歴・履歴」を挙げたが、実際の所はそんなに差が付かないのではないかと思う。もちろん大学卒業後何もしていない人が「~大学~学部卒業」のみを履歴に書いて出願していた場合、「~大学~学部卒業、~大学大学院~学科卒業」を持つ人や、「~大学~学部卒業、~社~部勤務」と書いた人との戦いでは不利になるだろう。これは当然である。実際、特に「学生」の身分で出願した人について言うと、現在修士の人と博士に在籍している人(修士を既に持っている人)の割合で言えば、前年度も今年度も博士に在籍している人の方がより多く内定している。しかし、このような履歴を持っている「学生」はいくらでも出願してくるので、その意味では差が付きにくいと思う。これは実務の人も似たり寄ったりで、一流企業が三流企業に経歴の点で勝るのかと言えば、そういうわけでもないと思う。
 それではどうやって差を付けるような履歴を作るのかというと、やはり自分が書いた研究課題に対応している履歴を書けるのが一番良い。例えば「都市の公共事業」を研究課題として書く場合、出願者はそれに関連した学歴、論文、職歴(特に関連した業務内容)があるという事実を当然のごとく書くべきである。さらに、ここで言う「経歴」はあくまで「出願書類に書いた研究課題に対応しているもの」が望ましいのだから、たとえ学生時代にやった市役所の~課で行ったパートタイムであっても関連性が認められるのであれば書くべきだ。もちろん国際法を研究すると書いた人間がセブンイレブンのレジ打ちを職歴に書いてもポイントにはならないが、「~国際会議の支援業務を行った」、「~という国際機関でインターンを行った」という事実は当然ポイントになる。何より当該研究分野に関心を持っているという事実を補足するし、(1)で述べた英語能力の中身を作り、実際に書類と面接でそれをアピールできる。
 特に俺が採用されているLawの分野でLL.M.に出願しようと考えている人については、確かに職歴を持っている実務家の方が合格しやすいという側面がある。「専門職学位」の枠組みで出しているのだから、当然「実務経験」で何かアピールできるものがあった方が良い。これは後の大学院出願の際にもかなり重要視されるポイントである。日本の大学院に所属していて、これまで何もフルタイムで勤務した経験が無い人は、特に上述した意味での関連性を持つパートタイムや、インターンの機会を有効活用するべきだと思う。実際俺はNYUのアプリケーションにフルタイム勤務をNone listedにして、添付したレジュメやパーソナルステートメントでこれまで行ってきた「関連性ある」パートタイムについて書いて普通に合格している。 これは何もLawの枠だけではなく、専門職学位プログラムに出願する「学生」の身分の人全てに言えることだと思うので、この枠で出そうという人は、よく考えて日本での学部4年と修士2年、博士3年を過ごした方が良い。

たまには短くてもいいと思うので(6)に続く

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