2011年4月14日木曜日

フルブライト奨学金攻略法 (終)

(9)の続き

5.おわりに

 ここまで、フルブライト奨学金攻略法を記してきた。フルブライト奨学金を取得するためには、1.英語能力、2.経歴・履歴、3.これまでの学業成績・業績、4.奨学金制度趣旨と研究計画の合致、5.推薦状、の全てについて、出願者が最大限の努力を注ぐことが求められる。
 しかし、フルブライト奨学金に内定したからと言って、その事実が水戸黄門の印籠かあるいはドラえもんのオールマイティパスのような効果を持つ、というわけではない。世間的には大学院受験の文脈で、「フルブライト奨学生」の肩書きを過大評価する傾向があるが、それは間違いである。トップスクールには「フルブライト奨学生」のような肩書きを持った人間がごろごろ集まってくるわけだから、「フルブライト奨学生」であっても戦いに負ければ落ちるところは落ちる。
 それでは期待しているほどの絶対的な効果を持たない「フルブライト奨学生」という事実を得るために何でこんなに一生懸命努力すべきなのか、と思う人もいるかもしれないが、俺の個人的な見解を言わせてもらえば、一生懸命努力しないと得られない内定の難しさこそフルブライトの狙いである。フルブライト奨学生になるための努力は、この団体が掲げる「将来のリーダー育成」という目標達成に自然に貢献する。内定を得るために確かな努力をした人間というのは、英語で海外の人々とコミュニケーションができ、確かな経歴でこれまでの努力の成果を示し、学業成績の高さと業績の多さで優秀であることをアピールでき、自身の関心が広く国際社会が抱える問題解決にあることを主張し、その関心分野における第三者の評価を得られた者である。奨学生がこれだけの資質を備えた人間でなければ、フルブライト奨学金としては(本来は)困るのだ。そして、一般人が求めているリーダーというのは、このような資質を備えた人間でなければ(本来は)困るのだ。各分野ごとに多くても年に3人ずつ程度しか採用しない理由はここにあるし、採用した人間1人につき(名目上は1年間限度無しだが)約1000万円程度の援助をする理由もここにある。したがって、フルブライト奨学金に出願する人間が最大限の努力をするのは、奨学金の根本的な理念上当然のことだと言える。
 俺がフルブライト奨学金受験について、単なる個人的な感想ではなく攻略法をこうして示したのは、単純に「この奨学金が求めるような資質を備えた人間がもっと世に出て世界をもっと面白くすればいいな」と思ったからである。少なくとも俺はこの世界はまだまだ面白いものになって楽しめるんじゃないのかなと思っている。フルブライト奨学金獲得を目指した全ての人間が、もっと世界を面白いものにできる者であることを願っている。

(了)

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