2011年4月11日月曜日

フルブライト奨学金攻略法 (7)

(6)の続き

(4)奨学金制度趣旨と研究計画の合致

 次は「奨学金制度趣旨と研究計画の合致」であるが、この項目については「英語で書く能力」の際に書いた内容とかなり重複する部分があると思うので、そこで書いたことについてはあまり焦点を当てないことにする。
 さて、この項目についての俺の順位付けから分かる通り、俺はこの「奨学金制度趣旨と研究計画の合致」についてはそこまで気を払うような内容ではないと感じている。「日米の相互理解に貢献するリーダー」といっても、別に将来外交官になって北米局とかで勤務する義務は無いし、時代錯誤もいいところの「アメリカかぶれの人」、「アメリカの手先になる人」みたいなつまらない人材をフルブライト奨学金が率先して育てているわけでもないので、書類や面接で「俺はアメリカが大好きだ」という内容のことを無理して書かなくてもいい。そもそもフルブライト奨学金が言っているのは「相互理解」であり、アメリカに対する一方的な好意や影響を意味しない。あくまで日本とアメリカ両国にとっての意義が重要である。
 というわけで、この項目についてはやはり何とでも言える、ということが分かる。もちろん「日米外交史におけるアメリカのリーダーの役割」、「サリンジャー文学における喪失と再生」、「現代アメリカにおける民族性の理解」などの研究課題だとものすごく簡単に「奨学金制度趣旨と研究計画の合致」について説明可能だが、「被災時における感染症予防」、「途上国における環境政策」、「水素発電と地球温暖化」など、フルブライト奨学金が該当分野に挙げる「グローバル社会の諸問題」や「現代社会が抱える問題」に貢献できる「研究」も、理系文系問わず無数に存在する。変に「別に俺の研究日米関係とかに関係ないしなあ・・・」とか考えずに、とりあえず現代の国際社会が広く抱える問題の解決に、自分の研究が貢献できることを予備審査で説明すれば(最終的に内定できるかどうかは別にして)そこであまり落ちることは無いと思う。
 この点、個人的にはあまり上記した意味で全く該当する研究分野に入らないものは思いつかないが、例えば「クマムシの生態」をそのまま研究課題に書いた場合は流石に予備審査で落とされるかもしれない。ただ、これも言い方次第で結構どうにかなるものであり、クマムシの生態を解明することがどのように現代社会の問題解決に役立つのか、ということを説明できれば、逆に面白い研究として際立たせることができるかもしれない。この意味でやはり「英語で書く能力」について述べた内容が重要になるだろう。
 また、よくある考え方だと思うが、「選考プロセスでフルブライト奨学金の成り立ちを知っているのか全て喋らされるのか」という発想もあるかもしれない。例えば他の奨学金では、伊藤国際教育交流財団については、書類で「奨学金制度趣旨と奨学生になるにあたっての抱負」を書いたが、面接では特に聞かれなかった。しかし知り合いのロータリアンに聞いた話だと、ロータリー奨学金の場合は成り立ちを全部知らないといけないらしい・・・。もっとも俺は多分ロータリーのような財団に嫌われるタイプの人間だと思うので受けてないから実際の所は知らないが。それではフルブライト奨学金はどうかと言うと、俺の場合は人生で2回行った面接で両方とも「君はフルブライト奨学金の歴史を知っているか」といった質問はされていない。
 他方で、それでは「フルブライトの制度趣旨やら歴史やらを完全に無視してもいいのか」と言えば、それは(当たり前だが)やはり無視すべきではない。就職の際に企業研究なしに入社試験や面接を受けることが自殺行為であるのと同じである。図書館で関連書籍を全部借りて読めとは言わないが、少なくともウェブサイトで述べている内容ぐらいは知っておくべきだし、受給内容や選考プロセスなども当然頭に入れておくべきである。

目がかゆいので(8)に続く

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